営業利益率とは、売上のうち、本業でもうけた利益(営業利益)の割合です。経常利益率は、そこに利息の受け払いや雑収入などを加えた経常利益の割合です。どちらも、会社が本業や毎年の活動でどれだけ稼げているかを見る指標です。
営業利益率の目安として、中小企業の法人全体の平均を見ると、営業利益率3.7%、経常利益率4.4%です。この記事では、中小企業庁の「中小企業実態基本調査」の最新の数字(令和7年確報、2026年6月公表)から、業種別・規模別の営業利益率と経常利益率を計算しました。あわせて、自社の数字を平均と比べる前に確かめておきたいことを説明します。
営業利益率と経常利益率の計算方法
営業利益率と経常利益率は、次の式で計算します。
営業利益率 = 営業利益 ÷ 売上 × 100 (営業利益 = 粗利 − 販売費及び一般管理費)
経常利益率 = 経常利益 ÷ 売上 × 100 (経常利益 = 営業利益 + 営業外収益 − 営業外費用)
販売費及び一般管理費(販管費)は、人件費や家賃、広告費など、店や会社を動かすための費用です。社長の役員報酬も、ここに入ります。営業外収益は受取利息や雑収入など、営業外費用は借入金の支払利息などです。経常利益率は「売上高経常利益率」とも呼ばれます。
例として、粗利率の目安の記事と同じ架空のラーメン店の、1か月の数字で計算します。
| 項目 | 1か月 | 売上に対する割合 |
|---|---|---|
| 売上 | 130万円 | 100% |
| 売上原価(材料費) | 42万円 | 32.3% |
| 粗利 | 88万円 | 67.7% |
| 販管費(社長の役員報酬30万円、従業員の給料25万円、家賃15万円、その他15万円) | 85万円 | 65.4% |
| 営業利益 | 3万円 | 2.3% |
| 営業外収益(自動販売機の手数料など) | 1.5万円 | 1.2% |
| 営業外費用(借入金の利息) | 0.5万円 | 0.4% |
| 経常利益 | 4万円 | 3.1% |
3万円÷130万円で、営業利益率は2.3%です。経常利益率は、4万円÷130万円で3.1%です。1年にすると、営業利益36万円、経常利益48万円の計算です。
粗利率は67.7%と高くても、人件費や家賃を払うと、営業利益として残るのは売上の2〜3%です。飲食店の平均(営業利益率2.0%、経常利益率3.2%)と比べると、この店は少し上にいます。
業種別の営業利益率・経常利益率の目安
中小企業実態基本調査 令和7年確報(令和6年度決算実績)の「売上高及び営業費用」の表から、法人企業の売上高、営業利益、経常利益を使って、業種ごとの営業利益率と経常利益率を計算しました。

営業利益率が低いのは、小売業(1.7%)、生活関連サービス業・娯楽業(2.0%)、卸売業(2.3%)です。高いのは、学術研究・専門・技術サービス業(11.4%)と不動産業・物品賃貸業(8.6%)です。どの業種でも、経常利益率のほうが営業利益率より少し高くなっています。
粗利率と並べると、次のようになります。
| 業種 | 粗利率 | 営業利益率 | 経常利益率 |
|---|---|---|---|
| 全業種 | 25.2% | 3.7% | 4.4% |
| 建設業 | 25.1% | 4.9% | 5.7% |
| 製造業 | 20.9% | 4.0% | 5.0% |
| 情報通信業 | 44.9% | 5.4% | 6.3% |
| 運輸業・郵便業 | 24.1% | 2.9% | 4.1% |
| 卸売業 | 14.4% | 2.3% | 2.7% |
| 小売業 | 29.5% | 1.7% | 2.6% |
| 不動産業・物品賃貸業 | 40.5% | 8.6% | 9.0% |
| 学術研究・専門・技術サービス業 | 54.5% | 11.4% | 13.0% |
| 宿泊業・飲食サービス業 | 66.0% | 2.9% | 4.3% |
| 生活関連サービス業・娯楽業 | 34.5% | 2.0% | 2.8% |
| サービス業(他に分類されない) | 43.2% | 4.4% | 5.6% |
宿泊業・飲食サービス業は、粗利率が66.0%といちばん高いのに、営業利益率は2.9%です。粗利率の高さは、そのまま利益の高さにはなりません。粗利から払う販管費が、業種によって大きく違うためです。
もう少し細かい業種(中分類)
同じ調査の、中分類の数字も計算しました。いずれも法人企業の数字です。
| 業種(中分類) | 営業利益率 | 経常利益率 |
|---|---|---|
| 飲食店 | 2.0% | 3.2% |
| 洗濯・理容・美容・浴場業 | 2.3% | 3.8% |
| 自動車整備業 | 2.5% | 4.0% |
| 道路貨物運送業 | 2.6% | 3.4% |
| 飲食料品小売業 | 1.4% | 2.0% |
| 飲食料品卸売業 | 1.4% | 1.7% |
| 総合工事業 | 3.9% | 4.6% |
| 設備工事業 | 7.7% | 8.5% |
| 食料品製造業 | 3.0% | 3.7% |
| 金属製品製造業 | 4.8% | 6.5% |
| 印刷・同関連業 | 1.7% | 2.9% |
| 情報サービス業 | 5.6% | 6.3% |
| 不動産賃貸業・管理業 | 11.6% | 12.9% |
| 専門サービス業(他に分類されない) | 21.6% | 24.9% |
業界の平均値は、合否を決める線ではなく、自社の位置を知るための目印です。平均値の出どころや使い方は、経営指標の業界平均の記事で説明しています。
小さい会社ほど、営業利益率は低い
同じ調査には、従業員の人数別の数字もあります。法人企業の営業利益率と経常利益率は、次のとおりです。
| 業種 | 5人以下 | 6〜20人 | 21〜50人 | 51人以上 |
|---|---|---|---|---|
| 全業種(営業) | 3.0% | 3.2% | 3.7% | 4.0% |
| 全業種(経常) | 4.1% | 4.0% | 4.5% | 4.7% |
| 建設業(営業) | 3.2% | 4.7% | 5.1% | 6.0% |
| 製造業(営業) | 2.2% | 3.0% | 3.5% | 4.5% |
| 小売業(営業) | −0.7% | 1.2% | 2.2% | 2.7% |
| 小売業(経常) | 1.9% | 1.9% | 2.6% | 3.2% |
| 宿泊業・飲食サービス業(営業) | −1.7% | 1.1% | 1.7% | 4.9% |
| 宿泊業・飲食サービス業(経常) | 1.5% | 3.1% | 3.2% | 5.7% |
全業種でも、建設業でも製造業でも、小さい会社ほど営業利益率が低く出ています。粗利率は小さい会社ほど高かったので、逆の動きです。小さい会社は、粗利は多く残しても、販管費の割合が大きいということです。全業種の販管費は、売上に対して5人以下で27.9%、51人以上で18.4%でした。
目立つのは、従業員5人以下の小売業と宿泊業・飲食サービス業です。平均で見ると、営業利益はマイナス、つまり本業では赤字です。それでも経常利益はプラスになっています。
差を埋めているのは営業外収益です。売上に対する営業外収益は、5人以下の宿泊業・飲食サービス業で4.2%、小売業で3.1%でした。51人以上の会社全体では1.2%です。小さな店ほど、本業の外のお金で利益を出している、という数字になっています。
平均と比べる前に確かめる2つのこと
1. 社長の役員報酬の額
小さな会社で、営業利益率をいちばん大きく動かすのは、社長の役員報酬です。役員報酬は販管費に入るので、社長が自分の給料を多く取れば営業利益率は下がり、少なく取れば上がります。
先ほどのラーメン店で、社長の役員報酬を月30万円から40万円に上げると、営業利益は3万円からマイナス7万円になり、営業利益率は2.3%からマイナス5.4%になります。店の実力は同じでも、数字は赤字に変わります。
同業と比べるときは、社長の役員報酬を同業と同じくらいの額に置き直して計算してみると、本業の実力が見えやすくなります。
2. 経常利益が営業利益より大きいとき、その中身
経常利益が営業利益よりずっと大きい会社は、営業外収益の中身を確かめます。補助金や助成金、保険の解約金などを営業外収益に入れていると、その年だけ経常利益が大きく出ます。翌年も入るお金かどうかで、見方は変わります。
経常利益は会社全体の毎年の稼ぎ、営業利益は本業の稼ぎです。本業の力を見るなら営業利益です。2つを並べて、差がどこから来ているかを確かめてください。
平均より低いときに確かめる順番
2つの点を確かめても、平均より営業利益率が低い場合は、次の順に確かめます。
- 粗利率が、業種の平均や前の期と比べて低くなっていないか(粗利率の目安の記事)
- 販管費のうち、人件費や家賃など、売上が増えても変わらない費用(固定費)が重くなっていないか(変動損益計算書の記事)
- 売上は増えたのに利益が減っていないか、その逆はないか(増収減益の記事・減収増益の記事)
営業利益率は、業種と会社の大きさで決まる部分が大きい数字です。平均より高い・低いだけで判断せず、前の期からの動きと、その理由を見ることが大切です。
クイズ:営業利益率を比べてみよう
次の材料で考えます。
- 会社:設備工事の会社(設備工事業)。従業員8人
- 1か月の売上:1,200万円
- 1か月の粗利:360万円
- 1か月の販管費:300万円(うち、社長の役員報酬80万円)
- 1か月の営業外収益:10万円、営業外費用:6万円
Q1. この会社の営業利益率と経常利益率は? 設備工事業の平均と比べて高い?低い?
答えを見る
営業利益は360万円−300万円で60万円、営業利益率は60万円÷1,200万円で5.0%です。経常利益は60万円+10万円−6万円で64万円、経常利益率は5.3%です。
設備工事業の平均は営業利益率7.7%、経常利益率8.5%なので、どちらも低くなっています。ただし、建設業の6〜20人の会社の営業利益率は4.7%なので、同じくらいの大きさの会社とは近い数字です。
Q2. 同業の社長の役員報酬は、月60万円くらいだとわかった。60万円に置き直すと、この会社の営業利益率は?
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販管費が20万円減って280万円になるので、営業利益は80万円、営業利益率は80万円÷1,200万円で6.7%です。
会社の稼ぐ力は同じでも、社長の役員報酬の額で営業利益率は5.0%にも6.7%にもなります。同業と比べる前に、役員報酬をそろえて見ます。
次の材料で考えます。
- 店:従業員4人の飲食店
- 1か月の売上:250万円
- 1か月の営業利益:マイナス5万円
- 1か月の営業外収益:12万円(うち、10万円は今年だけの補助金)
- 1か月の営業外費用:2万円
Q3. 経常利益は黒字。「この店の本業は大丈夫」といえる?
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いえません。経常利益は−5万円+12万円−2万円で5万円、経常利益率は2.0%の黒字ですが、営業利益率は−2.0%で、本業は赤字です。
黒字にしているのは、今年だけの補助金10万円です。補助金がなくなれば、経常利益も−5万円の赤字になります。
今週やること
- 損益計算書で、営業利益と経常利益を売上で割って、営業利益率と経常利益率を計算する
- 自社の業種と、同じくらいの人数の会社の数字と比べる
- 社長の役員報酬を同業と同じくらいの額に置き直して、営業利益率を計算し直す
- 営業外収益の中身を見て、翌年も入るお金かどうかを確かめる
まとめ
- 営業利益率は営業利益÷売上、経常利益率は経常利益÷売上で計算する
- 中小企業(法人)の平均は、営業利益率3.7%、経常利益率4.4%。小売業1.7%から学術研究・専門・技術サービス業11.4%まで、業種で大きく違う
- 小さい会社ほど営業利益率は低い。5人以下の小売業と飲食は、平均で本業が赤字
- 小さな会社の営業利益率は、社長の役員報酬の額で大きく変わる。比べる前にそろえる
- 経常利益が営業利益より大きいときは、営業外収益が翌年も入るお金かを確かめる
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