早期経営改善計画とは?費用・対象と405事業との違い|早期経営改善計画策定支援の流れを認定支援機関が解説

朝の光の入る事務所の机の上に、芽の出た小さな素焼きの鉢と閉じたノート、たたんだ紺の傘と白いマグカップが置かれている

早期経営改善計画とは、資金繰りや採算の管理など、基本的な経営改善に取り組む中小企業が、認定支援機関の支援を受けて作る経営改善計画です。作った計画はメイン行か準メイン行に出し、そのあと3年間、認定支援機関の伴走支援を受けながら改善に取り組みます。計画づくりと伴走支援の費用の3分の2は、中小企業活性化協議会が負担します。この国の制度を「早期経営改善計画策定支援」といいます。

私は認定支援機関として、早期経営改善計画の策定も支援しています。この記事では、中小企業庁の手引き(2026年3月31日改訂)とマニュアル・FAQに沿って、計画に入れるもの、費用、使える会社、申し込みから伴走支援までの流れ、405事業との違いを説明します。

目次

早期経営改善計画に入れる5つのもの

手引きは、早期経営改善計画策定支援のねらいを、収益力の低下や資金繰りの悪化などで経営に支障が出るのを「予防する」ことだとしています。計画を金融機関に出すことで関係をつくり、会社が自分の経営を見直すきっかけにする、という位置づけです(中小企業庁「経営改善計画策定支援事業(早期経営改善計画策定支援)に関する手引き」p.1)。

計画には、原則として次のものを入れます(手引きp.4、マニュアル・FAQ Q3-1)。

  1. ビジネスモデル俯瞰図:お金と商品の流れ、取引先との関係を1枚の図にしたもの。ローカルベンチマークの「業務フロー・商流」「4つの視点」「財務分析」の3シートで代わりにできる
  2. 経営課題の内容と、解決に向けた基本方針
  3. 実施計画(アクションプラン)と伴走支援計画
  4. 実態貸借対照表、計画損益計算書などの数値計画
  5. 資金繰表(実績・計画)

計画の中身に、数値の基準(何年で黒字にする、など)はありません。計画期間は3年から5年程度が一般的で、少なくとも3年後の決算期までは必要です(マニュアル・FAQ Q3-2)。

5つのうち、つまずきやすいのが資金繰表です。提出が必須なのに、資金繰り表を作っていない会社が多いです。私の支援も、資金繰り表づくりから入ることが多いです。月ごとの入金と出金を並べた実績がないと、この先の資金繰りの計画も立てにくくなります。作り方は資金繰り表の記事で説明しています。

早期経営改善計画の費用:3分の2を協議会が負担する

協議会が支払うのは、認定支援機関が業務を引き受けた日(委嘱を承諾した日)以降にかかった費用の3分の2までです(手引きp.2)。

費用協議会が負担する割合協議会の支払の上限
計画策定支援3分の250万円
伴走支援3分の230万円
事業承継先を探すための企業概要書の作成3分の210万円(加算)
金融機関交渉(経営者保証の解除に向けて、弁護士などの認定支援機関を使う場合)3分の210万円(加算)
  • 残りの3分の1は会社の負担。支払は振込で、委嘱を承諾した日以降に行う(手引きp.8)
  • 支払の対象になるのは、利用申請のときに出した費用の総額(予定)まで
  • 認定支援機関がもともと無料でやっている業務は対象外
  • 顧問税理士にも頼めるが、税務顧問とは別に契約を結ぶ。顧問料や決算料にまとめて払うことはできない(マニュアル・FAQ Q2-10)

早期経営改善計画を使える会社、使えない会社

対象は、資金繰りの管理や採算の管理など、基本的な経営改善に取り組む必要があり、計画を作って金融機関に出し、伴走支援を受けながら改善する意思がある会社です(手引きp.1)。マニュアル・FAQは、次の点を示しています。

  • 借入れのない会社でも、決済口座のある金融機関から事前相談書が出れば使える(Q1-2)
  • 使えるのは1回だけ(Q1-5)
  • 過去に405事業や早期経営改善計画策定支援、協議会の再生支援などを使った会社(実施中を含む)は対象外(Q1-3)
  • 創業から12か月以上の営業実績があり、決算を経ていること(Q1-3)
  • 税金や社会保険料の滞納があっても、税務署などと相談して解消に取り組んでいれば、対象になる可能性がある(Q1-3)
  • 社会福祉法人、NPO法人、一般社団法人などは対象外。医療法人は、常時使用する従業員が300人以下なら対象(Q1-3)

申し込みから伴走支援までの流れ

早期経営改善計画策定支援の流れの図。メイン行か準メイン行に事前相談して事前相談書をもらい、会社と認定支援機関の連名で活性化協議会に利用申請、協議会の審査と委嘱のあと計画を作り、金融機関に出す前に協議会へ計画案を出し、メイン行か準メイン行に計画を提出して受取書をもらい、支払申請、その後3年・年2回以上の伴走支援。費用は計画策定支援費用の3分の2(上限50万円)と伴走支援費用の3分の2(上限30万円)を協議会が負担
  1. メイン行か準メイン行に、早期経営改善計画を作ることを説明し、事前相談書を書いてもらう。事前相談書は、融資を約束するものではない。金融機関が認定支援機関として連名で申請する場合は不要(手引きp.2〜3)
  2. 会社と認定支援機関の連名で、協議会に利用申請する。添付するのは、履歴事項全部証明書、認定支援機関の認定通知書の写し、見積書と単価表、事前相談書、直近3年分の申告書の写し(同p.2〜3)
  3. 協議会が審査し、費用を負担するのが適切と判断すれば、認定支援機関に業務を委嘱する通知を出し、認定支援機関が承諾書を出す(同p.3〜4)
  4. 計画を作る。国の「収益力改善支援に関する実務指針」の着眼点(現状分析、経営課題、改善策、数値計画、アクションプラン、資金繰り、ガバナンス体制)に沿って検討する(同p.4)
  5. 金融機関に出す前に、協議会に計画案を出す。助言があれば修正する(同p.5)
  6. 事前相談した金融機関に計画を出し、受け取ったことがわかる書面(受取書など)をもらう(同p.5〜6)
  7. 協議会に費用の支払を申請する。会社が3分の1を払ったことを示す振込の控えなども添える(同p.5〜6)
  8. 計画を作ったあとの最初の決算から3年間、伴走支援を受ける。決算期を含めて年に最低2回は必須で、進み具合を金融機関に報告する(同p.6〜7)

利用申請の期限はなく、随時受け付けています。ただし、申請が受理された日から1年以内に支払申請を出さないと失効します(手引きp.3、マニュアル・FAQ Q9-1)。

405事業との違い:条件変更を入れるかどうか

同じ協議会の制度に、405事業(経営改善計画策定支援事業)があります。いちばん大きな違いは、返済条件の変更などの「金融支援」を計画に入れるかどうかです。

早期経営改善計画405事業(通常枠)
返済条件の変更・元金の返済猶予など計画に入れられない計画に入れる
金融機関の同意いらない(計画を出して受取書をもらう)書面での同意が必要
計画の数値基準なしあり(2026年5月から)
協議会の支払の上限計画策定50万円・伴走支援30万円計画策定200万円・伴走支援100万円
伴走支援3年・年2回以上3年・年2回以上

早期経営改善計画でも、借換えや新しい融資を計画に入れることはできます。条件変更などの金融支援には当たらないからです(マニュアル・FAQ Q3-4)。

順番にも決まりがあります。早期経営改善計画の伴走支援中に、計画と実績のずれが大きく、抜本的な改善が必要になった場合は、405事業などに移ることを条件に伴走支援を終えられます(手引きp.7)。反対に、405事業を使ったあとで早期経営改善計画策定支援は使えません(マニュアル・FAQ Q1-3)。

クイズ:早期経営改善計画の費用は、いくら会社が払う?

次の材料で考えます。金額は税抜です。

  • 計画策定支援の費用の総額:45万円
  • 伴走支援の費用の総額(3年分):36万円
  • 会社の従業員:8人

Q1. 協議会が負担する額と、会社が払う額は、それぞれいくら?

答えを見る

計画策定支援は、協議会が30万円(45万円の3分の2)、会社が15万円です。

伴走支援は、協議会が24万円(36万円の3分の2)、会社が12万円です。

合計で、協議会が54万円、会社が27万円です。どちらも上限(計画策定50万円、伴走支援30万円)の内側です。従業員数は使いません。

次の材料で考えます。

  • 計画策定支援の費用の総額:90万円
  • 伴走支援の費用:ここでは考えない

Q2. 協議会が負担する額と、会社が払う額は?

答えを見る

協議会は50万円、会社は40万円です。

90万円の3分の2は60万円ですが、計画策定支援で協議会が払うのは50万円が上限です(手引きp.2)。上限を超えた10万円は、会社の負担に回ります。

次の材料で考えます。

  • 毎月の返済が重く、メイン行に元金の返済を1年止めてもらいたい
  • これまで協議会の制度は使っていない
  • 創業15年、決算は毎年している

Q3. この会社は、早期経営改善計画で元金の返済猶予を計画に入れられる?

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入れられません。元金の返済猶予は条件変更(金融支援)に当たり、早期経営改善計画には入れられません(マニュアル・FAQ Q3-4)。

返済条件の変更を計画に入れるなら、金融機関の同意を得て進める405事業を検討します。

今週やること

  1. 過去12か月分の通帳と試算表から、月ごとの入金と出金を並べてみる(資金繰り表の実績)
  2. 借入金の一覧(金融機関・残高・毎月の返済額)を作り、メイン行と準メイン行がどこかを確かめる
  3. 借入金が年間の返済に回せるお金の何年分かを、債務償還年数の記事の方法で出しておく

まとめ

  • 早期経営改善計画は、基本的な経営改善に取り組む会社が、認定支援機関と作ってメイン行か準メイン行に出す計画。経営が悪くなるのを予防するための制度
  • 計画には、ビジネスモデル俯瞰図、経営課題と基本方針、アクションプラン、数値計画、資金繰表を入れる。数値基準はない
  • 計画策定支援と伴走支援の費用の3分の2を協議会が負担する。上限は計画策定50万円・伴走支援30万円
  • 使えるのは1回だけ。過去に405事業などを使った会社は対象外。借入れのない会社でも使える
  • 405事業との違いは、返済条件の変更などの金融支援を計画に入れるかどうか。早期経営改善計画では入れられず、金融機関の同意もいらない

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