「今月は、前年より売上が下がった」。月次の数字を見ていると、こういう月は、1年のうちどこかで出てきます。
でも、1か月の前年同月比だけでは、会社の売上が落ちているのかどうかは判断できません。季節の波や、大口の注文がずれただけ、ということもあるからです。
売上の流れを1枚で見るのに使うのが、Zチャート(Zグラフ)です。私も、支援先との月次の面談や、計画づくりで使っています。
Zチャートは、3本の線で売上を見る
Zチャートは、1年分の売上を3本の線にして、1枚のグラフにしたものです。
- 月ごとの売上
- 累計(期の初めからの合計)
- 移動年計(直近12か月の合計)
3本を並べると、下の線(月ごとの売上)、斜めの線(累計)、上の線(移動年計)で、アルファベットのZの形になります。見るのは、いちばん上の移動年計の傾きです。
移動年計が、季節の波を消してくれる
移動年計は、その月までの直近12か月の売上を足したものです。毎月、1年前の同じ月の売上を外して、今月の売上を足します。
どの月で切っても12か月分が必ず入っているので、夏に売れる、年末に売れるといった季節の波が消えます。移動年計が上がっていれば、1年前より売上が伸びているということです。
決算書だけだと、数字は年に1回しか出てきません。月次の試算表があれば、毎月この線を1本ずつ伸ばしていけます。
作り方は、表計算ソフトで3列足すだけ
用意するのは、前期と当期の月ごとの売上、24か月分です。会計ソフトの月次推移表から写せます。
- 前期と当期の月ごとの売上を、横に並べる
- 累計の列:前の月までの累計に、当月の売上を足す
- 移動年計の列:前の月の移動年計から前期の同じ月を引き、当期の同じ月を足す(最初の月は前期の合計から始める)
- 前年同月比の列:当期÷前期−1
- 月ごとの売上・累計・移動年計の3列を、折れ線グラフにする

期末の月には、累計と移動年計が同じ数字になります。ここが合っていれば、計算は合っています。
数字で見てみます
前期の売上が9,900万円、当期が10,390万円の会社です(架空の数字です)。上の表をグラフにすると、こうなります。

6月と11月は、前年同月を2%ほど下回っています。前年同月比だけを見ていると、この2か月は「売上が落ちた月」に見えます。
でも移動年計は、4月の9,950万円から3月の10,390万円まで、1年を通して上向きです。6月と11月は、線がわずかに下がっただけでした。1年の流れで見れば、売上は伸びていると読めます。
形で読む(上向き・水平・下向き)
Zの上の線の傾きで、売上の勢いを3つに分けて読みます。
- 上向き:移動年計が右上がり。1年前より売上が伸びている
- 水平:移動年計がほぼ横ばい。1年前と変わらない
- 下向き:移動年計が右下がり。1年前より売上が減っている
下向きのZが続いているときは、月ごとの数字を見ていても気づきにくい落ち込みが、ゆっくり進んでいることがあります。毎月同じグラフを見ていると、その変化に早く気づけます。
下向きだったら、分けて見る
移動年計が下向きのとき、最初に何を確かめるかは、業種によって違います。
分け方は、大きく3つあります。
- どこで売っているか(店舗別・部門別)
- 誰に売っているか(取引先別・顧客別・担当者別)
- 何を売っているか(商品別・現場別)
全体のZチャートと同じものを、分けた単位ごとに作ると、どこが下げているのかが見えてきます。分けて見る方法と、そのときに見る「貢献利益」は、部門別損益の記事に書きました。
今週やること
- 会計ソフトから、前期と当期の月ごとの売上を24か月分書き出す
- 累計・移動年計・前年同月比の3列を足す
- 3本の線を折れ線グラフにして、上の線の傾きを見る
- 下向きなら、部門別・取引先別・商品別のどれかで同じグラフを作る
売上は上向きなのに利益が伸びていないときは、増収減益の記事の見方で原因を探せます。財務分析の全体の考え方は、中小企業向け 財務分析の勘所と考え方にまとめています。
まとめ
- Zチャート(Zグラフ)は、月ごとの売上・累計・移動年計の3本の線で、売上の勢いを1枚で見るグラフ
- 移動年計は直近12か月の合計。季節の波が消えるので、1年前と比べた伸びがわかる
- 作り方は、24か月分の月ごとの売上に、累計・移動年計・前年同月比の3列を足すだけ。期末に累計と移動年計が一致すれば、計算は合っている
- 見るのは上の線の傾き。上向き・水平・下向きの3つで読む
- 下向きなら、どこで・誰に・何を売っているかに分けて、同じグラフを作る
この記事で書いた「移動年計の傾きを見る」作業は、一度やって終わりではなく、毎月の数字で続けていくものです。
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