小規模事業者の事業の持続的発展を後押しするため、販路開拓などの経費の一部が補助される制度です。補助額は通常枠で最大50万円と他の補助金と比較すると少額ですが、補助対象費用の範囲が広いことから人気のある補助金です。
第15回受付締切分については令和6年3月14日で終了しますが、今後も更新があると思いますので、今後の公募開始に向けて、準備を始めましょう。※「事業支援計画書(様式4)」発行の受付締切は、原則公募締切の1週間前(3 月 7 日(木))となりますのでご注意ください。
この記事は以下の方におすすめです。
・中小企業で補助金の利用が初めての方
・中小企業で販路開拓を行いたい方
・中小企業でホームページを作りたい方
・これから小規模事業者持続化補助金に取り組もうとしている中小企業診断士の方
補助金について
補助金と助成金の違い
補助金は国会で予算を決め、公募という形で希望者を募ります。そして一定期間で募集を締め切り、審査を行います。予算額に比べて人気の高い補助金は採択率が低くなります。一方、助成金は基本要件に該当すれば支給されます。補助金のように、審査があって採択不採択という概念がありません。よって採択不採択のある補助金のハードルは高く感じますが、自社の資金だけでなく、補助金が受け取れるという利点があります。(※自社で立て替えて補助事業終了後に受給。)この記事を読んで、小規模事業者持続化補助金を利用するか、それとも利用しないかを選択しましょう。
補助金の返済は不要か
補助金は融資と異なり返済は不要です。収益となり課税対象にもなります。
小規模事業者持続化補助金の申請の手順【仙台版】
持続化補助金の対象者か確認する
下記に該当する法人、個人事業、特定非営利活動法人が対象です。
商業・サービス業 (宿泊業・娯楽業除く) | 従業員の数 5人以下 |
宿泊業・娯楽業 | 従業員の数 20人以下 |
製造業その他 | 従業員の数 20人以下 |
また、以下の全ての要件を満たす方が補助対象者になり得ます。
1.資本金が5億円以上の法人に100%株式保有されていないこと(直接・間接)
2.直近過去3年分の、課税所得の年平均額が15億円を超えていないこと
3.商工会議所の管轄地域内で事業を営んでいること。
4.持続化補助金の過去3年間の補助事業者で、同一の補助事業の申請ではないこと。
5.「卒業枠」で採択され事業を実施した事業者ではないこと。
持続化補助金の対象事業を確認する
基本的な考え方は販路開拓です。以下の費用の一部が補助されます。具体的には、①機械装置等費、②広報費、③ウェブサイト関連費、④展示会等出展費(オンラインによる展示会・商談会等を含む)、⑤旅費、⑥新商品開発費、⑦資料購入費、⑧雑役務費、⑨借料、⑩設備処分費、⑪委託・外注費です。
③ウェブサイト関連費は注意が必要で、③ウェブサイト費だけでの申請ができないことと(他の費用と合わせて申請することが必要)、ウェブサイト費は上限が決まっていること(ウェブサイト費だけは補助額の1/4が上限 ※通常枠では12.5万円)にご注意ください。
小規模事業者持続化補助金の概要
「通常枠」を解説します。
・補助率:補助対象経費の2/3
・補助上限額:50万円
※インボイス特例枠(免税事業者から適格請求書発行事業者に転換する小規模事業者)を利用するとさらに50万円加算
他に、補助上限額が200万円の「賃金引上げ枠」「卒業枠」「後継者支援枠」「創業枠」がありますが、通常枠に比べ要件が厳しくなってきますので要項をご確認ください。
補助金申請のためのオンライン申請の準備をする
gBizIDプライムを作成します。法人の場合は郵送による申請、個人事業主の場合は郵送もしくはオンラインによる申請です。
【郵送による申請】
・期間:発行まで1週間程度かかります
・対象:法人・個人事業主
・準備物(審査前):gBizIDの申請書・必要書類※を郵送。
※必要書類:個人事業主→印鑑登録証明書・登録印
法人→印鑑証明書・登録印
・準備物(審査後):申請用端末(PC等)とメールアドレス・SMS受信用のスマートフォンor携帯電話
【オンラインによる申請】
・期間:即時発行
・対象:個人事業主の方
・準備物:マイナンバーカード・申請用端末(PC等)とメールアドレス・カード読み取りとSMS受信用のスマートフォン
・URL:https://gbiz-id.go.jp/top/
補助金を申請する
必要書類を一式そろえて申請します。電子申請または郵送により提出します。電子申請を使用せず、郵送で申請を行った場合は、減点調整が行われますので、特別な事情がない限りは電子申請をしましょう。
【法人・個人・NPO共通】
- 小規模事業者持続化補助金事業に係る申請書(様式1)[原本]※電子申請の場合は不要
- 経営計画書兼補助事業計画書①(様式2)[原本]
- 補助事業計画書②(様式3)[原本]
- 事業支援計画書(様式4)[原本]
- 補助金交付申請書(様式5)[原本]※電子申請の場合は不要
- 宣誓・同意書(様式6)[原本]
- 電子媒体(様式1、様式2、様式3、様式5、様式6(該当者のみ:様式7、様式8、様式9))
※電子申請の場合は不要
【法人のみ追加】
- 貸借対照表および損益計算書(直近1期分)[写し]
- 株主名簿[写し] ※該当者のみ
【個人のみ追加】
- 直近の確定申告書【第一表及び第二表及び収支内訳書(1・2面)または所得税青色申告決算書(1~4面)】(税務署受付印のあるもの)または開業届(税務署受付印のあるもの)[写し]
【NPOのみ追加】
- 貸借対照表および活動計算書(直近1期分)[写し]
- 現在事項全部証明書または履歴事項全部証明書(申請書の提出日から3か月以内の日付のもの)[原本]
- 法人税確定申告書(別表一 (受付印のある用紙)および別表四(所得の簡易計算))(直近1期分)[写し]
【注意点】
① 申請書類に不備があった場合、不採択となります。「公募要領」などを必ず確認し、申請に必要な要件等を確認のうえ、書類を作成、用意しましょう。
②「経営計画書」および「補助事業計画書」(様式2・3)の写し、希望する枠や加点等に関する書類等を地域の商工会議所窓口に提出の上、「事業支援計画書(様式4)」の作成・交付を受けましょう。「事業支援計画書(様式4)」の交付の受付締切は、原則公募締切の1週間前です。
③本事業は、小規模事業者が商工会議所の支援を直接受けながら取り組む事業です。そのため、社外の代理人のみで、地域の商工会議所へ相談を行うことや「事業支援計画書(様式4)」の発行依頼等を行うことはできません。
持続化補助金の対象事業の報告をする
申請が通り、採択されたら以下の流れで報告、受給までを完了させます。
- 採択・補助金交付決定後、販路開拓の取り組みを実施
- 実施後、期限までに実績報告書などの提出
- 日本商工会議所による報告書などの確認
- 報告書などの不備・不足がないことの確認終了後、補助金を請求・受給(概算払い)
※受給後にも、補助事業の完了から1年後に「事業効果および賃金引上げ等状況報告」(交付規程様式 第14号)の提出が必要です。
小規模事業者持続化補助金のメリット
資金の補助がある
自己資金や銀行からの借入で立て替える必要はありますが、50万円~200万円(インボイス特例も利用すると100万円~250万円)の補助金は、施策の規模を大きくできる希望になります。
小規模事業者持続化補助金のデメリット
書類作成や申請に時間と手間がかかる
特に初めての場合は、gBizIDプライムの作成、各種書類の準備、申請や報告書などの作成・提出など、時間や手間がかかります。自社でやるのではなく、中小企業診断士など専門家に手伝ってもらうことを検討してもいいかもしれません。着手金・報酬などで補助金の6%~10%を支払うことが多いようですが、自社で行う手間・時間と相談して選択しましょう。
仙台市の上乗せの補助金「仙台市地域産業応援金」
仙台市の場合は、「小規模事業者持続化補助金」に加えて「仙台市地域産業応援金」の申請をすると応援金の受給が可能です。
令和5年度実施の詳細をお伝えします。「小規模事業者持続化補助金」の交付決定を令和5年4月1日~令和6年3月31日までに受けた方が対象で、補助金の金額に応じて、仙台市から応援金の支給があります。※要申請
- 補助金額50万円未満:→応援金15万円
- 補助金額50万円以上500万円未満:→応援金30万円
(例)
補助事業の費用合計額 | 75万円 |
小規模事業者持続化補助金(上記の2/3) | 50万円 |
仙台市地域産業応援金 | 15万円 |
実質自社負担金 | 10万円 |
まとめ
小規模事業者持続化補助金について、初めてチャレンジする方目線で記事を書いてみました。最新の情報は各種HPで確認する必要がありますが、一連の流れやメリットはご理解いただけたでしょうか。繰り返しになりますが、費用に専門家の報酬を含めることは認められていますので、専門家への相談は上記メリットなどを踏まえて検討しましょう。小規模事業者持続化補助金の相談は弊社でも承ります。毎月3社限定で無料相談を受け付けておりますので、仙台市・宮城県の中小企業の方は、お気軽にご相談ください。